樹木が健全に育つには良好な土壌環境が大切です
近年、大門造園にも問い合わせをいただくことが多くなった「植栽基盤診断」の概要をご紹介します。
※(一社)日本造園建設業協会の定める植栽基盤整備に関する内容を 意図が変わらない程度に出来る限り分かりやすい言葉に置き換えています。ご了承ください。
樹木の根が歩道を持ち上げてるのは?
たとえば歩道沿いの植樹帯や植樹桝に植えられた街路樹、木が大きくなるにしたがって、太い根が歩道を持ち上げてしまっている光景を目にしたことがあるかと思います。

原因にはいくつかの要因が重なることがほとんどですが、そのひとつに「土壌の環境」が絡んでいる場合があります。
「地面が硬くて根が下に伸びないの?」「舗装で雨が浸透しなくて、根が水を求めて地表近くにしかないの?」など、
樹木が発している情報からさまざまな調査をし、客観的指標となる数値化にして、改善に繋げていく機会が必要な事例が多く見受けられます。
植栽基盤診断とは?
植物が健全に生長するために必要な土台の「土壌」のなかでも、植栽樹木に重点をおいた土台を「植栽基盤」と称しています。
現状の植栽基盤が、植栽樹木の健全な生長に見合うものであるかを植栽前に調査して診断し、改善の提案をするのが『植栽基盤診断』です。
植栽基盤診断にはおおまかに次の調査を用います。
- 土壌の断面状態を確認する調査
- 土壌の硬さを計測する調査
- 土壌の水はけの良さを計測する調査
- 土壌の性質や色を判断する調査
- 土壌の水素イオン濃度(俗にいう「pH」)や電気伝導度の化学性調査
このようなケースで行われます
「植栽をするが、その前に植栽地の土は大丈夫なのか?」
「造成された場所に多数の植栽をするため、枯れ補償のリスクを事前に把握して対処できるなら処置をしておきたい」
「何を植えても枯れてしまうので、原因を探りたい」
「植栽計画をするにあたり、事前にその場所の土壌に適した樹種を選定したいのでデータが欲しい」
「木の葉が変色したのは、先日おこなった外壁の酸洗いの影響を受けたかもしれない」
「建設リサイクル施設だが、植えられているアジサイの花が赤色しか咲かない」
「根が舗装を持ち上げて交通支障がおきたので、樹木更新する際に再発防止の対策をはかりたい」
これらのケースは、道路や公園など公共施設にとどまらず、集合住宅や商業施設、さらには一般のご家庭でも当てはまります。
診断内容の一例
土壌断面の調査(オープンカット)

重機が植栽箇所で容易に掘削できる環境で行います。
植栽箇所の断面を広範に観察できるメリットがあります。
調査に際し、掘削する機械や労力がかかるため、全箇所に用いることはあまりありません。
具体的には、主に次のようなポイントを観察します。
- 植栽基盤として必要な深さと広さの範囲に、もともとの根系があるか。
- 土の層が何層あり、それぞれで土の性質や色を確認
- それぞれの層で臭気がある層や礫などの障害がないか
- 断面の硬さが根の伸長に耐えうる数値か
- それぞれの層での水分状況はどうか
- その他
土壌断面の調査(大型検土杖での抜取)

重機作業を伴わずに植栽箇所で断面構造を見ることができます。
調査器具があれば比較的容易に土壌断面を観察できるメリットがあります。
調査に際し、広範を目視するものではないため、精度を高めるにはある程度の採取箇所が必要な場合もあります。
具体的には、主に次のようなポイントを観察します。
- 植栽基盤として必要な深さの範囲に、もともとの根系があるか。
- 土の層が何層あり、それぞれで土の性質や色を確認
- それぞれの層で臭気がある層や礫などの障害がないか
- それぞれの層での水分状況はどうか
- その他
土壌断面の調査(採取した土の性質判定)

「指頭法」という測定方法を用いて、「砂が多い土?」「粘土っぽい?」といった土の性質を簡易判定します。実際には「砂土」「砂壌土」「壌土」「埴壌土」「埴土」の5種から選択します。
判定で得られた情報は、診断に用いるデータとして次のポイントを考慮します。
- 植栽に用いる場合、通気性や透水性は良好な土の性質か。
- 保水性は適度に保たれるような土で、すぐ乾いたり滞留しない土の性質か。
- 養分を留めておけるような土の性質か。
- その他
土壌断面の調査(採取した土の土色判定)

「標準土色帖」という色片との比較をしながら、「黄色っぽい?」「赤っぽい?」といった土の色を判定します。実際には「マンセル表色系」に準じた表現方法で「7.5YR3/2(黒褐色)」などと表します。
判定で得られた情報は、診断に用いるデータとして次のポイントを考慮します。
- 腐植の含有量がどの程度みこまれる土なのかをおおまかに判断する。
- 土の還元状態(土中の酸素が欠乏している状態)が起きていないかを判断する。
- その他
土壌の硬さ調査(硬度計による測定)

専用調査機器(土壌貫入計)を用いて既定の錘を落下させ、貫入数を計ります。
測定した貫入数値をグラフ化し、根の伸長に影響があるかの判断材料にします。

計測途中で石礫により貫入しない場合、周辺に測定位置を移動して再計測します。
土壌の透水性調査(試験器による測定)

専用調査機器(透水試験器)を用いて、既定時間でどのくらい水が浸透するかを測定します。
測定した結果から「最終減水能」を算出し、湿害可能性有無の判断材料にします。
計測箇所で注水しても規定値まで水が溜まらない場合などは、場所を変えることもあります。
(実例としてモグラの穴などの空隙が出現し、正確な測定ができない場合があります。)
化学性調査(測定器による測定)

測定機器(水素イオン濃度測定器・電気伝導度測定器)を用いて、土壌の状態を判定します。
主としてpHと電気伝導度を計測し、土質の改善検討の判断資料とします。

測定に先立ち、「風乾細土」と呼ばれる試料づくりをします。植栽箇所から採取した土を室内で自然乾燥させ、2mm目のフルイにかけて粒度を整えた状態にします。
その風乾細土を用い、pHと電気伝導度の各々で既定の測定液をつくり、測定器にて数値を読み取ります。
pHが基準範囲にあるか、電気伝導度の数値が許容範囲から逸脱していないかを測定します。
大門造園の取り組み
大門造園では、約20年ほど前から「植栽基盤診断士」の資格を活用し、植栽前の「御膳立て」の提案をはじめ、大規模修繕後の土壌酸性化測定などで樹勢回復提案や調査診断業務に携わってまいりました。
また、当社の代表は平成19年より現在まで、(一社)日本造園建設業協会関東甲信総支部さまより「植栽基盤診断士補研修会」講師の依頼をいただき、微力ながら植栽基盤診断士の同志を増やすべく活動を行っております。
過日、2025年4月に埼玉県秩父ミューズパークにて開催された「全国植樹祭」においては、(一社)埼玉県造園業協会さまより依頼を受け、記念植樹地の事前調査として植栽基盤診断を実施いたしました。
植栽基盤診断士について
植栽基盤診断士は、一般社団法人日本造園建設業協会による資格制度です。
近年では、公共工事において「植栽基盤診断士による調査・診断」を条件とする特記仕様も見られるようになってきました。
一方で、資格制度そのものはまだ広く認知されているとは言えず、造園業界内でも知られていない場合があります。

ご相談について
とくに埼玉県内では、この「植栽基盤診断士」資格を有する企業に限りがあり、県内約700社ある造園業のうち1割に満たない登録数となっています。
もしも、お近くに植栽基盤診断のご相談ができる造園業者がいらっしゃらない場合には、下記のリンクよりお問い合わせください。
実際の診断・調査事例をご紹介しています。(なお、診断結果および完全提案は、諸事情を鑑み投稿ページ上には掲載しておりません。)
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